朝吹真理子書評、『文学のミニマル・イメージ』
郷原佳以著『文学のミニマル・イメージ』の書評が5月15日の読売新聞に掲載されました。評者は『きことわ』で第144回芥川賞を受賞した朝吹真理子さん。
モーリス・ブランショは、一般的に難解な批評家、作家として知られてきた。わからないことをわかったことにしようと、ブランショという固有名詞に「非人称性」や「虚無」のラベルを貼り、エクリチュールという言葉の「観念的」な一部分にのみ理解を押し込めようとしてきた側面があった。それはもっとも反ブランショ的な思考でありながら、表層的な理解はしばしばそのようになされていたように思える。
(中略)
著者が繋ぐ回線からは、語りえぬものに応答しようとするブランショの声帯の震えまでも伝わってくる。その声は、書物のうちにこだましているばかりではなく、紛れもない現実に接続しているのだとわかる。
<語りえない何かにけっして辿り着けないどころか却ってそれを裏切ることになってしまうという救いようのない状況においてこそそれについて語るということが、「われわれに残された最後のチャンス」なのだ>
これ以上の肯定の言葉はないと感じる。「最後」とはいつでも現在のことを指しているのだろう。考えつづけることによってのみ現在は肯定される。
全文はこちらの読売新聞HPで読む事が出来ます。
2011年5月16日月曜日