駒沢敏器評、『階段を駆け上がる』
6月1日日本経済新聞夕刊、「読書日記」のコーナーで、駒沢敏器さんに、片岡義男『階段を駆け上がる』をご紹介いただきました。
最初に感じたことは、音が聞こえてくるという感触だった。文体に端正なリズムがあり、その流れに身を任せていると、やがて音が聞こえてくる。(略)音と映像が空間的に構築・再現されるのだから、文字を目で追っているとはいっても、これは映画を観ているのと同質の体験だ。
(略)「アクション」と「リアクション」の関係が連鎖をしあい、物語を先に進める際の動力ともなっている。したがって読者が最終的に受け取ることになるものは、すべての動きを言葉でつくり出した彼自身の、身体性にほかならない。
「この1冊」という言い方は、片岡義男にはあまり似つかわしくない。どの1冊でもよく、最新刊の『階段を駆け上がる』を挙げておく。
まもなく次の短編小説集『木曜日を左に曲がる』が刊行となります。あわせて片岡義男の小説世界をお楽しみください。
2011年6月13日月曜日